米アパレル、大学別に戦略分岐
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米アパレルブランドのUrban Outfittersが、大学ごとに音楽やイベント内容を変える「UO Game Dayツアー」を今年で3回目実施した。同社はペンシルベニア大学発祥というルーツを持ち、長年キャンパス文化を軸にブランドを育ててきた。今回の取り組みは、全国一律のキャンペーンではなく、大学ごとの嗜好の違いを徹底的に拾い上げた点に特徴がある。
一律の施策はコストを抑えやすい一方、学生一人ひとりに刺さりにくいというジレンマがある。逆に大学ごとに内容を変えれば訴求力は高まるが、調査・企画・運営のコストと手間が増える。この両立をどう図るかは、規模を問わず多くの事業者が直面する課題だ。
大学ごとに変えた「物語」
Urban Outfittersは過去のツアーで得た学びと、継続的なソーシャルリスニングをもとに、大学ごとの音楽・文化の違いを把握している。その結果、同じ「キャンパスイベント」でも内容は大きく異なる。
大学 | 起用したアーティスト | ジャンル傾向 |
|---|---|---|
アリゾナ大学 | DJ Alison Wonderland | EDM |
ウィスコンシン大学マディソン校 | The Linda Lindas | パンクロック |
ラトガース大学 | Flo Milli、DJ Miss Milan | ヒップホップ |
同社デジタル・Eコマース責任者のJulia Draper氏は「今年は従来のキャンパス体験を超えて、プラットフォームとして押し広げた。出演者の人選からカスタマイズ、ポップアップ、試合会場での展開まで、大学ごとに見え方が変わる」と説明している。
ラトガース大学との複数年連携
ラトガース大学は、ブランド初のバック・トゥ・キャンパスCM「All Together Now」にも登場する。このCMはNetflixやHuluなどのストリーミング、YouTubeやTikTokなどのSNSで展開され、同社初のCTV(コネクテッドTV)広告となった。CMには実在のラトガース大学の学生が出演しており、同大学との複数年契約を土台に、今回はリアルイベントへと拡張した形だ。Draper氏は「デジタルで伝えた物語を、リアルな場で誠実に橋渡ししたかった」と語っている。
デジタルとリアルをつなぐブランド連携
UO Game DayツアーはNike、Levi's、Converseとのタイアップも含む。店内ではVansやUggを扱う体験型コンセプト「On Rotation」も展開しており、ブランドパートナーシップは同社の体験・マーケティング戦略の中核になっている。Draper氏は「ナショナルブランドが持つ既存のファン層を、自社で作る商品に重ねられるのは大きな差別化要因」と話す。
新興チャネルとクリエイター戦略
物価上昇が続くなか、同社は価格面の手頃さに加え、つながりやコミュニティという形での「価値」提供を重視している。Draper氏は「デジタルコンテンツは、顧客が時間を過ごすさまざまなチャネルにブランドが顔を出せる手段」と述べ、ソーシャル優先の姿勢を強調する。
具体的には、以下のような取り組みが進められている。
- RedditやChatGPTなど新興チャネルでの広告テスト
- TikTok、Instagram、Pinterestでのプラットフォームごとに異なるコンテンツ制作
- クリエイタープラットフォーム「Kale」を通じたマイクロクリエイターとの連携
- 規模の大きさよりエンゲージメントと本物らしさを基準にしたクリエイター選定
Draper氏は「クリエイターパートナーシップは継続的に拡大している。常に新しい人材を探している」と話しており、クリエイターは自分の言葉でブランドストーリーを語る役割を担っているという。
成果と背景
直近の決算会見で、同社の経営陣はマーケティング施策が2桁台のデジタル成長と新規顧客獲得を後押ししたと説明している。大学ごとに作り込んだ施策、CTVへの初出稿、新興チャネルでの広告テストといった複数の取り組みが重なった結果とみられる。
まとめ
Urban Outfittersの事例から見えるのは、「全国一律」ではなく「地域・属性ごとの違いを把握してから作り込む」アプローチの有効性だ。これは日本のスタートアップや農業ベンチャーにも応用できる発想といえる。例えば地域によって作物や栽培方法、気候条件、直売先の客層は大きく異なる。SNSや直売所での会話、口コミをソーシャルリスニング的に拾い、地域ごとにイベントや発信内容を変えることは、大規模な予算がなくても着手可能だ。
ただし応用には前提条件もある。ソーシャルリスニングや複数チャネルでのコンテンツ出し分けには、分析ツールの導入や運用できる人材、継続的なデータ収集の仕組みが必要で、経営体力やITリテラシーが一定水準ないと負担が大きくなる。まずは自社の顧客層が多い地域やチャネルを一つ選び、小さく試して効果を見ながら広げるのが現実的だろう。
あなたの現場では、地域や客層ごとに発信内容を変える工夫をしているだろうか。あなたの現場の声を、記事下のアグリコメで聞かせてください。
現場で使える!専門用語ミニ辞書
- ソーシャルリスニング(そーしゃるりすにんぐ)
- SNSや口コミ上の消費者の声を収集・分析する手法。地域や顧客層ごとの嗜好の違いを把握する指標として使える。
- CTV(コネクテッドTV)
- インターネットに接続されたテレビで配信される広告枠のこと。NetflixやHuluなどのストリーミングサービス上に出稿する広告を指す。
- ブランドパートナーシップ
- 自社ブランドと他社ブランドが協業する取り組み。相手先の既存ファン層を活用し、互いの商品価値を補完し合う狙いがある。
- クリエイタープラットフォーム
- SNS上で発信するクリエイターと企業をマッチングする仕組み。規模の大小にかかわらず、商品やブランドに合った発信者を探す際に使われる。
- マイクロクリエイター
- フォロワー数は少ないものの、特定の層との結びつきが強い発信者のこと。エンゲージメントの高さを重視する起用方針で活用される。
参考
How Urban Outfitters finds the right campus fit with college marketing
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アグリコメ 1
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編集部ノウカラ編集部
【編集部より】現場の皆さんは、地域や客層に合わせてイベントや広告内容を変える工夫をしていますか?具体的な取り組みがあれば教えてください。