令和7年度 農薬事故16件発生
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要点
- 令和7年4月〜令和8年3月に農薬使用による人身事故16件、農作物等の被害10件(農作物9件・物件1件)を農水省が確認
- 主な原因は防護装備の不備、土壌くん蒸剤(クロルピクリン剤)の被覆不足、飛散防止対策の不足、保管管理の不徹底
- 農水省は都道府県に調査結果を送付し、再発防止の指導徹底を依頼。令和8年度以降も調査を継続する方針
農薬は適正に使用すれば生産性向上に寄与する一方、取り扱いを誤れば散布者本人や周辺住民、農作物・家畜に被害を及ぼすリスクを抱える。防護装備の着用や飛散防止対策は、作業時間や資材コストの増加につながる面もあり、繁忙期の現場では「分かってはいるが徹底しきれない」というジレンマを抱える経営体も少なくないとみられる。今回公表された結果は、安全対策をどこまでコストとして許容するかという経営判断にも関わる内容だ。
何が決まった/起きたか(事実)
農林水産省は、農薬の安全かつ適正な使用を推進する目的で、厚生労働省と連携し毎年度「農薬の使用に伴う事故及び被害の発生状況」調査を実施している。今回公表されたのは令和7年度分(令和7年4月〜令和8年3月に発生した事案)の結果で、全都道府県から情報提供を受けて取りまとめられた。
調査結果によると、農薬の使用に伴う人に対する事故は16件、農作物等の被害は計10件(農作物9件、物件1件)だった。
事故・被害の内訳
対象 | 件数 | 主な原因 |
|---|---|---|
人 | 16件 | 防護装備(農薬用マスク・保護メガネ等)の不備/土壌くん蒸剤の被覆不備・破れ/飛散防止対策の不足/誤飲 |
農作物 | 9件 | 土壌くん蒸剤の被覆不備・漏洩/飛散防止対策の不足 |
物件 | 1件 | 周辺住民への事前周知・立入禁止措置等の不足/飛散防止対策の不足 |
背景と経緯
本調査は毎年度継続して実施されており、農水省はこれまでの結果もあわせて「令和3年度〜令和7年度」の推移を資料として公表している。農薬による事故・被害は、防護装備の着用や保管管理、散布時の天候・周辺への配慮といった基本的な対策の徹底不足が繰り返し原因として挙げられており、毎年同種の指導が行われている構図がうかがえる。
特に土壌くん蒸剤(クロルピクリン剤)に関する事案は、人・農作物双方の被害原因として共通して挙げられており、被覆作業の徹底が長年の課題となっていることが読み取れる。
影響を受ける主体
- 営農者・農業法人:農薬散布を自ら行う経営体は、防護装備の着用徹底や保管庫の施錠管理、強風時の散布回避など、作業手順の見直しが求められる
- JA(農業協同組合):指導機関として、組合員への安全啓発や防護装備・飛散低減ノズル等の資材導入支援の役割が引き続き期待される
- 農業ベンチャー・関連企業:飛散低減ノズルや飛散の少ない剤型の開発・販売、防護装備の普及を手がける企業にとっては、安全対策需要の裾野拡大につながる可能性がある
- 周辺住民:散布地域に隣接する住民は、事前周知や立入禁止措置の有無によって被害リスクに直面する立場にある
経営・投資判断への示唆(考察)
以下は原文の事実を踏まえた考察であり、特定の政策効果を保証するものではない。
防護装備や飛散防止資材(飛散低減ノズル、被覆資材等)への投資は、事故・被害発生時の損害賠償リスクや近隣トラブルを低減する保険的な位置づけとして経営判断に組み込む余地があるとみられる。また、土壌くん蒸剤の取り扱いに関する事案が目立つことから、くん蒸剤を扱う産地・法人では、被覆作業の手順書化や複数人体制でのチェック導入など、作業プロセスの標準化が再発防止につながる可能性がある。
農業ベンチャーにとっては、農薬散布の安全性を可視化・記録するアプリやセンサー、ドローン散布時の飛散抑制技術などが、JAや自治体の安全指導と連携したサービス展開の切り口になり得るとみられる。
今後のスケジュールと確認先
農水省は今回の調査結果を都道府県に送付し、事故・被害防止のための指導徹底を依頼した。あわせて「農薬危害防止運動」等の機会を通じて、農薬の適正使用の推進に引き続き取り組むとしている。本調査は令和8年度分以降も継続実施される予定。
項目 | 内容 |
|---|---|
調査対象期間 | 令和7年4月〜令和8年3月 |
公表日 | 令和8年10月6日 |
今後の調査 | 令和8年度分以降も継続実施 |
問合せ先 | 消費・安全局農産安全管理課農薬対策室(03-3502-8111 内線4500) |
まとめ
令和7年度の農薬使用に伴う人身事故は16件、農作物等の被害は10件発生し、防護装備の不備や飛散防止対策の不足が主な原因とされた。農水省は都道府県への指導徹底を依頼し、今後も調査を継続する方針だ。防護装備や飛散防止資材への投資は手間とコストを伴うが、事故・被害のリスク低減という観点から経営判断に組み込む余地がある。あなたの現場では、農薬散布時の安全対策をどこまで徹底できているだろうか。あなたの現場の声を、記事下のアグリコメで聞かせてください。
現場で使える!専門用語ミニ辞書
- 土壌くん蒸剤(どじょうくんじょうざい)
- 土壌中の病害虫や雑草の種子を防除するためにガス化させて使う薬剤。使用後は被覆を行い、ガスの漏洩を防ぐ必要がある。
- クロルピクリン剤
- 代表的な土壌くん蒸剤の一つ。揮発性が高く、被覆が不十分だと周辺への漏洩や中毒事故につながりやすいため取り扱いに注意が必要。
- 飛散低減ノズル
- 農薬散布時に薬剤の粒子を大きくするなどして、風による飛散(ドリフト)を抑える効果が期待される散布器具のノズル。周辺作物や住宅地への配慮に使われる。
- 農薬危害防止運動
- 農水省や都道府県が毎年実施する、農薬の適正使用・事故防止を呼びかける啓発活動。散布時期にあわせて防護装備の着用や保管管理の徹底が周知される。
- 被覆(ひふく)
- 土壌くん蒸剤を使用した際に、ガスの漏洩を防ぐためビニール等の資材で土壌表面を覆う作業。材質や厚さが不適切だと漏洩事故につながる。
参考
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アグリコメ 1
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編集部ノウカラ編集部
【編集部より】現場の皆さんは、農薬散布時の防護装備や飛散防止対策について、日頃どのような工夫をしていますか?使用している薬剤や地域の気候に応じた対策があれば教えてください。