食品残渣で昆虫タンパク量産

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フィンランドの昆虫ベンチャーが年5000トン工場を稼働

フィンランドの昆虫農業スタートアップ「Volare」が、同国ポリ市に産業規模の生産施設を完成させた。投資額は1500万ユーロ(約16.6億円)で、予算内・予定通りに竣工したという。年間生産能力は昆虫タンパク最大5000トン、昆虫油2000トンに達する。

国内外で人手不足や飼料コストの高騰が課題となるなか、代替タンパク源としての昆虫飼料への関心は高まっている。一方で、EUの飼料規制など制度面の制約も残り、事業者ごとにコスト構造の最適化が問われている局面だ。現場の声を聞きたい読者は、公式サイトを見るから一次情報を確認してほしい。

技術:食品産業の副産物で黒色兵士バエ幼虫を飼育

この工場は、かつて新聞印刷工場だった建物を転用して建設された。地域の食品産業から出る副産物(食品残渣)を飼料として、黒色兵士バエ(BSF)の幼虫を育てる仕組みだ。1シフトあたりの必要人員は4人に設計されており、省人化を意識した運用となっている。

CEOのJarna Hyvönen氏によると、業界の先行企業の失敗から学んだ結果、「高度な自動化をやみくもに追求するのではなく、効率的に機能させることを優先した」という。具体的には、タンパク粉製造における独自の乾式処理でエネルギー使用量を約30%削減し、フラス(幼虫の排せつ物由来の副産物)の衛生処理工程でも使用エネルギーを約50%削減したとしている。

経済性:投資1500万ユーロとコスト構造の工夫

Volareは2022年からデモ規模の施設で商業販売を開始しており、ペット用おやつ(Alvar Pet)、キャットフード(VAFO Group)、ニジマス用飼料(Alltech Fennoaqua)などの開発実績がある。同社のタンパクは有機養鶏飼料にも使用されてきた。

今回の産業規模工場の稼働にあわせ、クラウドファンディングプラットフォームSpringvestを通じて710万ユーロ(約7.7億円)の新規資金も調達した。Hyvönen氏は、EUが昆虫農場による消費後食品廃棄物や大半の動物由来副産物の使用を制限する規制について「時間とともに緩和されるとみられるが、我々の事業モデルはこの変化を前提にしていない」と説明する。飼料原料はコスト構造の一部に過ぎず、電力調達・労務・排水処理などの最適化で単位コストを下げられるとの考えだ。

項目

内容

CAPEX

1500万ユーロ(約16.6億円)

タンパク生産能力

年間最大5000トン

油生産能力

年間2000トン

必要人員

1シフト4人

新規調達額

710万ユーロ(約7.7億円)

導入規模:取引先確保と第2工場検討

生産能力の大部分はすでに販売契約済みで、アクアフィード大手のSkrettingや、名前非公表のグローバル化学企業とのオフテイク契約が成立している。Hyvönen氏は、アクアフィード顧客にとって「供給の安定性が大きな要素であり、昆虫農業は他の新規タンパク源よりスケール化に近い」と述べる。製品品質では消化性・嗜好性・健康面に加え、価格と供給可能性が重視されるという。

Volareは既にこの新工場をベースに、第2の産業規模施設の検討を進めている段階にある。

まとめ

Volareの事例は、食品副産物を原料とする昆虫タンパク生産が、投資予算内・計画通りに産業規模へ移行できる段階に入りつつあることを示す。日本のアグリテックスタートアップや農業ベンチャーにとっても、昆虫由来タンパクや副産物循環モデルは、飼料原料の国内調達・供給安定化という観点で参考になり得る。ただし今回の事例はCAPEX1500万ユーロ規模の設備投資と、電力・労務・排水処理まで含めたコスト最適化のノウハウが前提になっている点には注意が必要だ。小規模な実証段階からオフテイク契約を積み上げ、段階的に投資規模を拡大する手順は、資金力に限りがある国内ベンチャーにも応用しやすい考え方だろう。一方で、日本と欧州では飼料規制や副産物利用のルールが異なるため、原文にない数値や実績を前提にした判断は避け、自社の原料調達環境とコスト構造を個別に検証する必要がある。

皆さんの現場では、代替タンパク源や副産物活用についてどのような可能性・制約を感じていますか。あなたの現場の声を、記事下のアグリコメで聞かせてください。

現場で使える!専門用語ミニ辞書

CAPEX(キャペックス・設備投資)
工場や設備の新設・拡張にかかる投資額のこと。収益化までの投資回収計画を考える際の基準になる指標。
黒色兵士バエ幼虫(こくしょくへいしばえようちゅう・BSFL)
食品残渣などを分解して育つハエの幼虫。タンパク質や油分を多く含み、飼料原料として利用される。
オフテイク契約(おふていくけいやく)
生産される製品を一定量・一定条件で買い取る事前契約のこと。新規生産設備の稼働前に販売先を確保する手段として使われる。
フラス(frass)
昆虫の飼育過程で出る排せつ物由来の副産物。衛生処理を経て肥料などに活用されることがある。
アクアフィード
養殖魚向けの配合飼料のこと。原料の安定供給や消化性・嗜好性が品質評価の基準になる。
クラウドファンディング
多数の個人・投資家からインターネット経由で少額ずつ資金を集める調達手法。スタートアップの追加資金調達手段の一つ。

参考

Finnish insect ag firm Volare opens 5,000-ton protein factory in Finland, explores 2nd plant - AgFunderNews

アグリコメ 1

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  • 編集部NextTrend Review 編集部

    【編集部より】皆さんの現場では、飼料原料の調達コストや供給の安定性についてどのような課題を感じていますか?地域や取り扱っている品目もあわせて教えてください。

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