微細藻類量産、印度に新工場

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結論:製糖副産物と光を使う新技術が商用化段階へ

イスラエルのバイオテック企業Brevel(ブレベル)は、インドのコングロマリット企業The Wave Group(ザ・ウェーブ・グループ)と50対50の合弁会社を設立し、インド・ウッタル・プラデーシュ州に容量30万リットルの大規模発酵施設を建設すると発表しました。同施設は「光照射発酵(illuminated fermentation)」という独自技術で微細藻類クロレラを量産するほか、植物細胞培養を手がけるスタートアップにも生産能力を開放する計画です。

代替タンパク質や機能性成分の分野では、コストの壁が商業化の最大のハードルとされてきました。今回の合弁は、糖化副産物という安価な原料と自社設計の発酵設備によってこの壁を下げようとする試みであり、海外のアグリテック企業の資金調達や事業提携のあり方を考える上でも参考になる事例です。

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Brevelの「光照射発酵」とは何か

Brevelは2016年設立。LED光を使う「光発酵」と、糖を微生物に与える「ダーク発酵」を組み合わせた独自プロセスを開発しています。CEOのYonatan Golan氏によれば、光だけで培養する一般的なフォトバイオリアクター方式に比べ、発酵による収量は最大100倍に達するとしています。

  • 糖(モラセスなど製糖副産物)がエネルギーと栄養を供給
  • 光が光合成微生物(クロレラ)による機能性成分の生成を促進
  • 両者の組み合わせでタンパク質生産のコスト構造を変える、とBrevelは主張

製糖副産物を使う発酵自体は目新しい技術ではありませんが、光を同時に当てることでタンパク質以外に抗酸化成分(ルテイン、ゼアキサンチンなど)やビタミンB12も同時に生産できる点が特徴とされています。

インド工場の規模と投資計画

工場はThe Wave Groupが隣接する製糖工場の副産物(廃糖蜜、粗糖、ショ糖リッチな中間生成物など)を原料として利用する計画です。建設は今年中に開始し、本格稼働まで18か月を見込みます。

項目

内容

最終施設容量

30万リットル

第一期投資額

1500万ドル

第一期容量

10万リットル

出資比率

Brevel:Wave Group=50:50

建屋・基本インフラ費用

Wave Group側が別途負担

稼働開始目安

着工から約18か月後

Golan氏は、同規模の設備を外部の専門エンジニアリング企業から調達する場合と比べ、自社設計の発酵槽によってコストを大きく抑えられると説明しています。一方で建屋や基本インフラの費用は合弁への出資額に含まれず、Wave Group側が別途負担する仕組みです。投資額の多寡だけでなく、どこまでが合弁の負担範囲かという点は、海外の設備投資型ジョイントベンチャーを評価する際の着眼点になります。

商用化の進捗:飲料大手との提携と植物細胞培養企業の関心

Brevelの技術は現時点で3種類の製品化を想定しています。

  1. Purallis:タンパク質・微量栄養素を含むクロレラの全細胞バイオマス
  2. タンパク質濃縮物・分離物
  3. 機能性脂質など高付加価値成分

当面の主力はPurallisで、Golan氏は「追加の規制対応が不要で市場も大きい」と説明しています。顧客にはイスラエル最大手の飲料会社CBC Group(コカ・コーラやカールスバーグのナショナルフランチャイザー)が含まれ、同社は2027年半ばにBrevel原料を使った製品ラインを発売予定とされています。生産はまずイスラエルの5,000リットル施設で開始し、2028年のインド合弁稼働後に生産を移管する計画です。

さらにGolan氏が「最大の市場の引き合い」と位置づけるのが、植物細胞培養企業への技術提供です。米国の植物細胞培養企業Ayana Bioとはすでに協業しており、プロセス改善・スケールアップ・受託製造まで含めた取り組みが進行中です。Brevelは今後、長期の引き取り契約(オフテイク契約)の第一弾を獲得する見込みだとしています。

まとめ:日本のアグリテック企業にとっての示唆

今回の事例は、海外の代替タンパク質・バイオ製造分野で「原料コストの削減」と「設備の自社設計によるコスト圧縮」を組み合わせ、大規模投資を呼び込んだケースです。日本のアグリテック・スタートアップが同様の発酵・培養技術を事業化する際には、以下の点が前提条件になると考えられます。

  • 安価な副産物原料(国内であれば米ぬかや食品加工残渣など)を安定確保できるパートナーの存在
  • 独自設備の設計・製造能力、または設備コストを抑える提携先
  • 小規模実証(数千リットル規模)から商用規模への段階的なスケールアップ計画
  • 植物細胞培養など周辺分野への技術転用可能性(収益の多角化)

一方で、今回のJVでも建屋・基本インフラ費用は出資先の企業が別途負担しており、設備投資型のバイオ製造ビジネスは資金調達の設計次第で負担構造が大きく変わる点に注意が必要です。経営・ITリテラシーの両面から見ても、発酵プロセスの自動制御やデータ管理には専門人材が必要になり、中小規模のベンチャーが単独で同規模の展開を行うのは容易ではないとみられます。

あなたの事業で、海外のこうした発酵・培養技術の導入や提携は現実的だと感じますか。あなたの現場の声を、記事下のアグリコメで聞かせてください。

現場で使える!専門用語ミニ辞書

光照射発酵(こうしょうしゃはっこう・illuminated fermentation)
LED光とダーク発酵(糖を使う発酵)を組み合わせる手法。タンパク質や機能性成分を効率よく作る指標として使われる。
クロレラ(Chlorella vulgaris)
タンパク質や微量栄養素を含む微細藻類の一種。食品・サプリメント原料として利用される。
植物細胞培養(しょくぶつさいぼうばいよう)
植物の細胞を培養槽で増殖させ、成分を生産する技術。農地を使わずに特定成分を生産できる手法として注目される。
ダーク発酵(だーくはっこう)
光を使わず、微生物に糖を与えて増殖させる発酵方式。高付加価値成分の生産に使われることが多い。
フォトバイオリアクター
LEDなどの光を使って微細藻類を屋内で培養する装置。光のみに依存する方式はコスト面の課題が指摘される。
オフテイク契約(offtake agreement)
生産される製品や原料を、事前に決めた条件で長期的に買い取る契約。設備投資の採算見通しを立てる際の指標になる。

参考

Brevel teams up with The Wave Group to scale 'illuminated fermentation' in India (AgFunderNews)

アグリコメ 1

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  • 編集部NextTrend Review 編集部

    【編集部より】海外発のバイオ製造・代替タンパク質技術について、皆さんの地域や経営で応用できそうな原料・副産物はありますか?実感や事例を教えてください。

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